ピコピコ……。

薄暗い部屋に響くのはコントローラーのボタンを押す操作音。

窓もカーテンも閉めきり、小さな丸テーブルの上にあるのは食べ終えたカップラーメン。

テレビの光だけが部屋を、そして、俺を照らしていた。

「よしっ……」

テレビ画面に表示された「ゲームクリア」の文字に俺は少し顔をほころばせる。

俺、榮倉爽介(えいくらそうすけ)。
高校2年生という肩書きがあるだけのただの引きこもりだ。

爽介って名前からは想像もできないだろうな。
でも所詮、名前なんて親の願望。

子供が願望通りに育つわけない。

高校に入学できたのだって、母さんが高校に土下座してまで頼み込み、籍を入れただけ。

入学してから一度も高校に行ってない。
クラスのやつらの顔も知らなければ、俺には"友達"という類もいない。

まあ、そんなものいなくて結構だ。