水色のタントが動き出し、延喜グラウンドの坂を下り、京子の言う、ガソリンスタンドでガソリンを入れた。




ガソリン代は、さすがに、慎平が払ったが、京子も譲らない。しかし、慎平は、頑なに拒んだ。男を見せたいのだ。




ガソリンを入れ終え、近くのローソンに寄り、夜食を買った。おにぎり、パン、カップ麺、プリン、スナック菓子、お茶とコーヒー、カップ麺は、お湯がないからという理由で、京子に戻されたが、それらをレジに持っていき、慎平は、煙草を、京子は、肉まんを二つ買い、ここは、京子の方が先にクレジットカードを出していて、慎平は、男を見せられなかった。




買ってきた肉まんを1個ずつ食べながら、これからどこに行くか、二人で話し合った。まず、車を使うのか、それとも電車で移動するかだ。




「慎平、行き先ってどこがあるん?」




「えっと、四国中央、宇和島、松山、愛南町かね」




「確か、四国中央は、東予で、松山は、中予、宇和島は南予で、愛南町はどこなん?」




「愛南町も南予よ」




行き先で、ここから一番近い場所で言うと、四国中央市ということになる。慎平が乗ってきた予讃線の岡山行きの電車の途中の駅に「伊予三島駅」がある。その駅を降りると、そこはもう、慎平の懐かしい匂いがする場所になる。




「四国中央なら、電車で行く?」




京子はそう言うが、1:30を回っている今の時刻では、電車はない。




結局、今の時間からでも移動できる、松山に先に行くことになり、慎平は、ハンドルを切った。