「次、どこ行く?」




「あなたがここにいたら」から「NaNaNa サマーガール」に変わり、京子は、欠伸をしながら言った。




次の行き先と言っても、今治は十分満喫できたようにも思える。しかし、今治は満喫できたとしても、京子とこうして一緒に過ごす時間は、まだまだ満喫できていない。




「とりあえず煙草吸うわ」と言って、慎平は、運転席から降り、悪いとは思ったが、水色のタントを背もたれに火をつけた。




星が見える。東京で見る星より、ほんの少し、輝いて見える____ような気がする。そう思いたいだけではないかとも思ったが、それでいい。星は輝いている。




助手席から京子も降りて、慎平の横のスペースに慎平と同じように水色のタントを背もたれにした。




「寒くないん?」




「煙草吸っとるけん、大丈夫」




「車の中で吸えばいいやん」




そう京子は言ったが、さすがに喫煙者でもない車を汚すわけにもいかない。もし、そのことを京子に言うときっと、「大丈夫よ。すでに汚れてるし」と言うにきまっている。彼女は、そういう女の子だった。




「外で吸うほうが、おいしいんだよ」




と根拠もないことを言って、慎平は、京子の首を傾げさせた。