「まあ、あの運動会では、一番心に残ってるのは、やっぱ学年選抜対抗リレーやね」
そう付け加えると、京子も「やっぱり?」と目を輝かせた。
あれは、本当にドラマのような展開で、今、思い出しても慎平は、鳥肌が立ちそうになる。
学年選抜対抗リレーとは、クラスで選ばれた男子2人、女子2人の計4人からなるリレーチームを作り、学年で競い合う。慎平は、学年で2番目に足が速く、京子も陸上部であることから、誰の意も唱えることなく決まった。
京子は、1走で、慎平は、アンカーだった。
運動会の練習でも、選抜対抗リレーは、2回ほどあったが、その2回とも慎平のクラスは2位。1位は、学年で1番速い奴がアンカーで、3走まではいつも慎平のクラスが一番だったにも関わらず、最後のアンカー勝負でいつも負けた。
「そうそう。正直、諦めとったよねー」
と京子が言うように、1位のアンカーは、物凄く速かったのだ。
ただ、本番というものは、何があるか本当にわからないものだ。