それにしても、12月の夜は、寒く、こうして動いていても、一向に暖かくならない。慎平は、鼻をすすりながら、京子は、袖の中に手を引っ込め、足踏みをしている。




「寒いし、車に戻ろうぜ?」




と提案しても、「逃げるんー!?」と返ってくるため、慎平は、続けるしかない。




ただ、それから10分ほどして、やっと耐えられなくなったのか、「一抜けた~」と言って、京子は、自販機に走った。




慎平は、やっと解放されると思い、しかし、京子を置いて車に戻るわけにもいかず、足元にボールを置き、ベンチに腰を下ろした。




「おまた~」




京子もベンチに座り、二人並んで同じエメマンの微糖を開けた。




「はあ、生き返るぅぅぅ」と一息をつく京子を慎平は、横目でチラッと見た。中学と変わらないとは思うが、よくよく考えてみると、こう間近で京子を見たことはなく、これでは、変わっていないのか、変わってしまったのか、慎平にはもう一生わからない。




「慎平……」




不意に京子が慎平の方を向き、また目が合ってしまい、目のやり場に困る。ただ、目線をそらすのも悪いので、目を合わせたまま「どした?」と聞いた。




「寒いけん、やっぱ車に戻ろ?」




慎平もその提案に乗り、二人して車まで競争をした。もちろん、慎平が勝った。