武道場のところを曲がり、この道を真っすぐ行くと、水色のタントを停めた場所に出る。




「慎平の中で中学の一番の思い出って何?」




「んー、何だろ……」




考え込んでいるように見せる慎平だが、慎平には、もう答えが出ている。というか、一つしかない。しかし、それを素直に言うことに、躊躇した慎平は、「松山は?」と聞いた。




「松山!? ま、松山!? アッハッハッハー」




あまりにも慎平の質問がおかしかったらしく、京子は、腹を抱えて笑い、慎平は、暗くてよく見えないが、顔を真っ赤にして京子を見ている。




「いいよ? 中学の時の呼び方で」




「中学の時の呼び方って言っても、俺、『松山』って呼んどったじゃん」




また、「松山」というワードで、当の本人、「松山」こと、京子は、ヒーヒー言いながら笑う。




「何がおかしいんだよ!」




「だって、だって、ヒーヒー」




ちなみに、この外周をこれほどゲラゲラ笑いながら歩いた人は、創立から今までいないのではないのだろうかというくらい、京子は、水色のタントに乗るまで笑い続けた。