「ここって、幽霊出るんやって、慎平知っとった?」
京子は、赤い橋のところにもたれかかって、慎平に聞いた。
「そんなん、自治体かなんかが作った噂やろ?」
「そうなん? あ、慎平、幽霊とお化けの違いってわかる?」
京子の問いに、慎平は煙草の煙を吐き、笑みがこぼれた。
「知っとるよ。いい女が死んだら幽霊。その他がお化けです。お化け長屋やろ?」
「おおー! 慎平も見たんや!」
慎平は、最近になって、落語にすっかりはまってしまい、その中でも好きな三遊亭圓楽のお化け長屋を暗記するほどで、それと同じものを京子も見ていたらしく、会話は赤い橋の上で、落語、そして、最終的には、笑点になった。



