今夜は……



俺は何を期待してる?誰を待ってる?




いつものようにベンチに横になる。




どうやら…うとうとしてしまったらしい。短い間に俺は夢をみてた。



何をしているか、誰といるかは、わからないのだけど、ほのぼのする光景に思わずニヤけてしまった。




(理音)
「ごんべいは…何ニヤけてんの?」
ホッペを思いっきり抓ってきた。




その痛さに、目が覚めた。



理音が覗き込んできた。




(kazu)
「ちっ!今良いとこだったのに!何で起こすんだよ!こいつはー」




(理音)
「月がね?……貴方が待ってるって…教えてくれたの!だから、わざわざ来たんだよ!
嬉しい?」



(kazu)
「何で?俺が?お前を待ってるって?はあっっ!ありえねぇっ!バカかぁ?お前は…」



(理音)
「ねぇねぇ!星見に行くの。考えてくれた?理音ね、あれから、その事考えてたら、眠れなかったの!理音ね、いつでも良いよ!その日が来るなら……大嫌いなピアノの練習も、くだらないお勉強も、全部頑張るからね!……」




(kazu)
「何で勝手に決めてんだよ!誰がお前なんかと、しかも、星だって?
よく訊けよ!俺は…お前みたいな…こうっ、づかづか、何て言うか……とにかく、嫌いなんだって!分かってない奴だな!」



(理音)
「あのさ!私考えてたんだけど。真冬の星もいいかなぁって!きっと白い息吐きながら、かじかんだ手を二人で温めながら……何か凄く…星と一緒に慰め合ってるみたいで…」



人の話しを全く訊かない奴…夢見る乙女のような横顔を思わず見てしまった。



初めてまじまじと見たその子は……あれっっっ、ちょっとばかり、可愛いかも…