理音は、抱き締めてやっているうちに、安心したのか、スヤスヤと眠りに就いてしまった。



二人だけの時間は、あっという間に終わりを告げていた。



約束の時間までには、理音を送りとどけなくてはいけなかった。



マンションの前に着いた。



(理音)
「それじゃ、カズさん……有難うございました!」一礼をする……

「ああっ、このコート……」



(kazu)
「ああっ、それは…君の為に用意したものだから、あげるよ!……後っ、ケータイは、俺と君だけの物だから……アドレスも入れておいたから、お父様とお母様には、内緒だから…掛けてこいよ!」



何時会えるとも、知れない別れであった。



二人が思いも寄らない結果が待っているとは、この時の二人は、知るよしもなかった。