(kazu)
「何故黙ってる?星のせいか?……それとも俺のせいなのか?」
手には、しっかりケータイを握っている。カズは、その手を両手で包み込んだ。
その手は、冷たくて、少し震えていた。
(kazu)
「俺のこと…怖い?………じゃぁ…どうして…」
(理音)
「星を見ながら、今日の事思い返してたの。カズさんが、私との約束、守ってくれて……あんな事出来るなんて、思ってもいなかったの。それに、こうやって、カズさんと、星を見れて……私、もうっ、これ以上、望んじゃぁいけないって……朝になったら、カズさんとは…さよならを言わないと……………」
(カズ……
何で、何でさよならなんだ?
俺たち、ちょっと前に巡り逢ったばかりなんだ。まだ、お互いに知らない事一杯あるだろ!何だよ!お別れって………)
カズは、黙ったまま、再び理音を抱き寄せた。強く強く抱き締めた。
どんな感情なのか、カズにも分からない。
けど…何故か今理音を離したくなかった。
こんな知り合ったばかりの、しかも、17才の高校生に………
理音の涙も止まらなくなっていた。
カズは、理音を抱き締めながら、子供をあやすように、背中をさすってやり、呟いた。
「何時もの、元気な君は、何処行ったんだ?今日は、うじうじしてるのは…君の方だ!…星が見て、笑ってるぞ!……」
(理音)
「ええっ!それって、私の台詞だから…(カズの胸の中で涙を拭いながら小声で笑う)」
(kazu)
「顔を上げて、…そうっ、…でっ、星を見て!……」
カズは、吸い込まれるように、理音にそっと、口づけた。ほんの一瞬の出来事だった。
理音は、何が起きたのか判らず、キョトンとしている。
(kazu)
「星が、君の唇に降りて来た……らしい!」

