「遅くなってごめんね!待たせちゃった?!」

そう言ってベンチに脚を組んで座る、私が昨日呼び出した相手の元に駆け寄る。

「お前おせーんだよ。んで、どうした?わざわざ話があるって呼び出したりして…」

そう、その相手は…京弥。

「ごめんごめん。委員会の仕事あるの忘れてたの…(苦笑)」

「おい奈央…お前はほんとに懲りねえな。
……まあいいや。本題は?」

「あのね、京弥。この前のこと、謝りたくて。元カレのことで、ちょっとあれから気まずかったでしょ?私さ、また昔みたいにどんどん溝が出来ちゃうのは嫌なの。だから今日こうして、直接話がしたかった。京弥…私ね、ほんとはずっと、京弥のことが好きだった。他の子と付き合ってる時も、私が奏と付き合ってた時も、ずっと。でも怖くて言えなかった。だから京弥と簡単に付き合える子達が、羨ましくて仕方なかった。京弥が幸せなら、それでいい。いつもそう思ってた。でも内心はそうはいかなかったの。今回だってどうせすぐ別れる…毎回心のどこかでそう思ってたんだよ。タカくくってごめんなさい。」

そう言って、一気に私の想いをぶつけた。

「奈央、ごめんな。気付いてやれなくて。いや…気付いてたのに、勘違いなんじゃないかって、逃げてばっかで…本当にごめん。俺もずっと怖かった。俺がもっと早く気付いてやれれば、奈央がこんなに苦しむこと無かったのに…」

「京弥は謝ることないよ!それにね、私がこうやって話せるのには、理由があるの。奏が…奏がその勇気をくれたんだよ。奏はね、ずっと私のことを好きでいてくれたの。でも私が好きなのは京弥だった。だから、別れようって言わせてしまったの。自分が好きな人の辛い顔は見てられない、そういう思いで…だからね。今度こそ、私は奏をちゃんと好きになりたい。今日はそのために、京弥に振ってもらおうと思って、、京弥、私をハッキリ振って。」