カーテンの間からさしこむ太陽
私はゆっくりと起き上がった
「ふあ~。ねむ‥‥」
まだ寝てたいけど起きなくちゃ
今日は桜鈴高校の入学式。
で、私は桜鈴の2年生。柳 明音(やなぎあかね)
元気が取り柄で成績はまぁそこそこ
恋なんかしたことないけど友だちがいるだけで充分楽しい!
「髪よし、服よし、笑顔よし!」
学校に行く前にちゃんと身だしなみは確認しなきゃねっ
「明音はやくどけよー。俺がつかえねーじゃん」
「なによ~毎朝髪をセットするために30分も鏡占拠してるあんたに言われたくないわ」
「今日は入学式だから可愛い子がいるかもしんねーだろ?モテる奴は準備も大変なんだよ」
「はいはい、言ってなさいよ」
こいつは私の双子の弟の陽斗(はると)
最近女子からきゃあきゃあ言われて調子にのっちゃってるのよねー
顔はいいけど性格はアウト
「じゃ、あたし行くからいってきまーす」
陽斗を置いて先に学校へ行った
校門をくぐるとぶかぶかの制服を着た新入生が教室へ向かっていた
「明音ーー!おはよ!」
「おはよ!葵」
「クラス張り出されてるんだってよ!早く見に行こ!」
「いくいくー!」
この子は藤崎 葵(ふじさき あおい)
小学校からの仲で、唯一私が本音を言える大好きな親友なの
「きゃー!やったよ明音!一緒だようちら~!」
「ほんと?!どこどこ?」
「ほら!5組のとこ!」
「ほんとだ!しかも先生は綾ちゃんだし!」
「去年から2連続で一緒なんてラッキー☆」
「だね!じゃあ教室行こっ」
「うん!」
ガラッ
教室に入るとあまり知らない人がいっぱいいた
「ねね、うちらの席どこかな?」
「座席表黒板に書いてあるよ、ほら」
葵とは席1個分離れてしまった
「んんー話せないこともないね!」
「そうだね!あっ‥‥‥‥嘘でしょ~!」
「ん?‥‥あーあ」
「陽斗も一緒なの‥‥嫌だ、すごく嫌だ」
陽斗まで一緒のクラスにだなんて
しかも席あたしの前だし‥‥
「何が嫌なんだー?ん?」
「陽くんおは~」
「おはよ葵」
「なんで陽斗と一緒なの。いや」
「俺だって残念だよ。またお前と同じクラスなんて」
「なんで家でも学校でもあんたと一緒なのよー!」
「しょうがなくね?俺のせいじゃないしー」
「なによ!だいたいあんた‥‥」
ガラッ
「はーい。席つけー出席とるぞー」
綾崎 弘樹せんせ(通称 綾ちゃん)が入ってきたのでしぶしぶ席についた
あれ?隣の人いないなー遅刻?
「宮村ー。宮村 光は遅刻か?」
ガラッ
「すいません!遅れましたっ!」
教室に入ってきたのは栗色の目をした男の子だった
「おー来たか宮村。遅れたバツとして新しい教科書あとで運んどけー」
「ええ~そりゃないよ綾ちゃーん!」
教室に笑いが起こった
「綾ちゃん言うなちゅーの!席つけ!柳の隣だ」
あ、ここなんだ‥‥
「俺、宮村 光!よろしく」
「私は柳 明音!よろしくね」
宮村くんが席につくと再び綾ちゃんの点呼が始まった
「全員いるなー。入学式あるから体育館に移動しろー」
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入学式が終わってHRで委員会や係決めがされた
「まずはクラス委員長から決めていくぞー。立候補するやついるかー推薦でもいいぞー」
シーーーーーン
誰も手挙げないなぁ。そりゃそうか。こんな雑用みたいなのめんどくさいもんねー
「なぁ」
宮村くんが小声で話しかけてきた
「なに?」
「さっきの入学式ん時、校長のヅラずれてなかったか?」
「ぶっ!あはは!それは禁句だよー」
「なんだー柳、何が禁句なんだー?」
「えっ!何でもないです!」
気づいたらみんながこっちを見ていた
「そうかそうかー。なら委員長は柳でいいかー」
「な、なんでそうなるの綾ちゃん!」
「うるせー笑ってるからだよ」
「‥‥プッ。クスクス」
ん?笑い声?
横を見ると宮村くんがくすくす笑っていた
「もしかしてはめたでしょ!ひどい!」
宮村くんは笑い声をおさえて苦しそうに言った
「おまえ単純だな笑」
むかっとする!そーだ!
「綾ちゃん!副委員長に宮村くんを推薦します!」
「おーやってくれるか宮村」
「なっ!ちょ!おい柳!」
あたしはべーっという顔をしてふいっとそっぽをむいた
「じゃあ委員長は柳、副委員長は宮村で決定だな」
ほかの委員会はすぐに決まっていった
HRがおわると葵が話しかけてきた
「残念だったね明音。委員長だなんて」
「うぅー。まぁなっちゃったものはしょうがないから頑張るよー」
「そっか。なにか手伝えることあったら言ってね!」
「ありがとー葵」
「今日は午前授業だから帰りに甘いものでも食べに行こ!」
「うん!」
放課後になりあたしは葵と一緒にクレープ屋さんにいった
「う~ん…どうしようかなぁ」
「明音~まだぁ?」
「バナナもいいしイチゴもいいな~」
「あーもう!あたしがバナナにするから、ね?」
「やった!両方食べれる!ありがと葵~♡」
「しょうがないんだから」
