「ん、もっと近くに」



そういうと、ルーベルトはルミの細い腰へと手を伸ばした



そのままぐっと引き寄せると、ルミはポスっとルーベルトの、足の間に収まる



少し力を込めれば、抵抗もなしに動く軽い体に少し心配になった



「ルミ、そんなにたくさん食べてるのに何故こんなに細いんだい?」



「・・・さぁ?」



「さぁって・・・」



まぁ、自分でも分かるわけないよね、と思わず苦笑いするルーベルト



「ルーク・・・ワッフル」



「ん?あぁ、ごめんね。今あげるよ」



何より食欲に従順なルミに苦笑いを深めながら、ソファの横に置いていたバスケットを手に取る



そして目の前の綺麗なテーブルにそれを置いた



「はい、どうぞ」



するとすぐにルミはバスケットへ手を伸ばし、その中の綺麗な紙に包まれたワッフルを手に取る



「おいしいかい?」



その言葉に、口にいっぱいワッフルを頬張りながらこくんと頷いた


その姿は頬に沢山きの実を詰めた小動物を連想させる



「そうだろう、そうだろう。これは宮廷料理人が作ったものだからね」



宮廷料理人・・・もちろん国一番の料理人である



王を中心とした皇族らが食す料理を作る人達であり、彼らが作った料理は最高級とされる



美味しくないはずがないし、一般には一生食べることのないものだ



むしろ気軽に食べていいはずがない



それを理解しているのかいないのか、いや、恐らくしてないだろうルミはバクバクとワッフルを口に運ぶ



しかしその食べ方は戸惑うことなく正しい作法で品があり、食事を見ただけでも庶民ではないとわかるものだった