”・・・ちゃんと誰かは分かってるよ”




しかし返ってきたのは拍子抜けな言葉で




”じゃあ、だれよ”




”・・・・・ごめん、言えないの”




しゅん、と落ち込んだような庇護欲がかき立てられるその姿に、こっちが悪いように思えてしまったセナは、それ以上強くでることは出来なかった




いくら甘い物が好きだからといって、自分より遙かに頭のよいルミがそんな危ない事をするはずが無い




ただおいしいお菓子をくれる優しい人なのだろう




そう自己解決して、怒りを収めた




言えない理由を聞くと、相手が言わないように約束してきたらしい




”・・・男?”



”・・うん”




自分の名前を隠させるなんて、ますます怪しい




それに男ならルミを落とそうとしてる危ない奴かもしれない




ああ、嫌な想像が膨らんでいく




「じゃあ、行ってくるね?」




あ、いかん。回想に浸っている場合じゃなかった




「まってルミ!」