「 ん、なら話続けるぞ。 」

「 お前と一緒に仕事する人の名刺と内容先渡しとく。 」

そういって私に資料をどっと持たせ
最後にそっと置いた名刺を見ると

「 ー 成瀬 汐? 」

この名前には深い思い出がある。
そう、卒業式で告白する前に
私がフラレた相手と同じ名前だ。

「 ん-? 亜嵐どうかしたか? 」

顔に出てたのか心配そうに
声をかけてくれる深瀬さん。

「 いや、あの-、たこ焼き食べたいなって


「 心配してなんか一気に損した。 」

昔のあの話は誰にも言っていない。
誰にも知られたくない。
私の中に閉まっておきたい過去なのだ。

「 ま、気のせい気のせい。 」

そう言ってデスクに戻り
内容などをチェックする私。

その気のせいが
まさかいつも当たることのない
気のせいが
こんな時に当たるとは
思ってもいなかった。