笠原くんが見えなくなってから私も教室に戻ろうと思ったら

「ねぇ?」

「えっ?」どこからか聞こえてきた声に思わず振り返る

「誰?」人なんてさっきまでいなかったはずなのに

そこには

「俺?俺は佐々木 俊(ささき しゅん)」

焦げ茶色の髪の色にゆるく着崩した制服

「よろしくね!野田さん」

と笑う彼はまるで無邪気に笑う子供のようで母性本能をくすぐる

見た目はどちらかと子供っぽいのに彼の目は大人びていてなぜか目が離せなかった

ひとことで言うなら

”不思議な人”

そう思った