昼休みも、帰りのHRにも智哉は姿を見せなかった。






しばらくは、そのことに触れてほしくない雰囲気だったから、そっとして置いた。




いつもみたいに、席に集まってくる奴らとバカ話して何事もなかったかのように過ごした。


*******



期末テストがもう少しに迫ってきたころ。



「オレ、静香センパイのこと諦めるわ!
てか、もう諦めた!」



帰り道で突然、話し出した。




「えっ?!

あぁ…

でも、いいのか?」





本気だったのは、間違いない。




そんなに簡単な諦められるものなのか?




相川さんが智哉を好きでも、それでもオレは諦められないのに…





「静香センパイの幸せが、オレの幸せって思えたから…

本気で好きだったけど、オレじゃダメだって言われた。

だからって諦めたわけじゃないんだけど…

アイツが悲しむから…」




アイツ?




アイツって、誰のことだ?




「アイツって、誰だよ…?」




違っていてくれ…




ここで、あの名前を出されたら…




「バーカ!


相川さんじゃねーよ!

翔平も、相当惚れてるんだな!

だったら、サッサとコクればいいのに」





オレ、顔に出てたのか…



情けねー…



でも、よかった…



あまりにホッとして足が止まった。




まだ、諦めたくないから。




もう少し、このままでいさせて欲しいから。