ハァ…



笑いが収まったのか、涙をぬぐいながら
ため息をついた遊実を見て



「なぁ、何が起きたのかわかる?」





「ん?


うーん、あたしの予想だけど…


静香センパイに知里が、抱き付いて離れない。

それに嫉妬した大也センパイが、知里の大好きな智哉に抱きついたら気持ちをわかってもらえると考えた…

ってところかしら!


そんなのムリなのにね!」


また、笑いが込み上げてきてクスクス笑い出した。




「ムリなの?」



「ムリムリ!!

智哉の一番をもらったから、次は大也センパイに奪われた静香センパイの一番を取り戻しにいくはずだからね!

大也センパイは、苦悩の日々が続くね」


ニヤニヤと笑いながら、知里を見つめている。




ふと疑問に思って聞いた。




「遊実の一番は、誰?」



「えっ…

そんなの決まってるじゃない…」




「誰か言ってくれないとわからないなぁ…?」


意地悪く、口角を少しあげるだけで言った。



ここは、オレって答えてくれるってわかってるから…





「あたしの一番は…



知里だよ〜だ!!



ベーーだ!!」


あっかんべーをして、ふふっと笑いながら、知里のいるほうへ走って行った。



「え…?


えぇっっ??!!」



まさかの知里?!



オレのライバルって知里?!



てか、女の子がライバル?!



大也さん…


今、智哉に抱き付いた気持ちが初めてわかりました…


そして、嫉妬するのも…




これは、相当厳しい戦いになりそうですね…



「遊実! 待てよ!!

オレ、一番がいい!!」




オレの初恋はまだ、始まったばかりだ。







〜fin〜