いつもキリッとしている矢沢君の目が、戸惑うように揺れている。
照れくさそうな低い声で名前を呼ばれた瞬間、胸がドキンと高鳴った。
徐々に顔が熱くなって、気まずさから目をそらす。
な、何か言わなきゃ。
「い、いいよっ……!じゃあ琉衣って呼ぶね」
男子を下の名前で呼ぶのは初めてだけど、なぜか嫌な気はしなかった。
でも、いいのかな?
あたしなんかが矢沢君と仲良くなっても。
だけど、矢沢君がそうしろって言ってるんだし。
いいよね?
「あ、あたしのことは呼び捨てでオッケーです」
男子に呼び捨てされるのは初めてだから、なんだか照れくさい。
しかも、あの矢沢君があたしの名前を呼ぶだなんて。
「菜花」
「へっ……!?え、あ、な、なに?」
なんだか変だよ。
名前を呼ばれただけなのに、ドキドキして落ち着かないなんて。



