クスッと笑い、矢沢君はコップを取り出そうと取り出し口に手を持って行く。
「ほら、そこ座ってろよ。北上に渡すと落っことしそうだから、俺が運んでやる」
「え?お、落とさないよ。っていうか、これじゃあたしが奢ってもらっちゃってるじゃん。お礼がしたいのにー」
「いいだろ。つーか、女は奢られるのが普通なんじゃねーの?」
いや、そんなことはないと思う。
矢沢君の感覚は人と少し違うのかも。
うむむむ。
よくわからないや。
「どうしても礼がしたいって言うならさ」
真剣味を帯びた矢沢君の声に、鼓動がドキンと高鳴る。
「俺のこと……琉衣って呼んで?」
「え……?」
コップを取り出して振り返った矢沢君の顔は、誰がどう見てもわかるくらい真っ赤で。
え?
え……っ?
「そんなんで……いいの?」
「え、いや。じゃあ、あと……菜花って呼びたい」



