そうこうしている内に病院の正面玄関に到着。
自動ドアを抜けると、突き刺すような冷たい風が肌に当たった。
雪は止んだみたいだけど、凍えるほどの寒さに身震いする。
まだ夕方だけど、これから夜にかけてどんどん寒くなるのかと思うと嫌になる。
うーっ。
寒っ。
「矢沢君はバス?あたしは桃の木横町だから、バスなんだけど」
バスのロータリーを指差して、矢沢君の横顔をちらっと見上げる。
無地の黒いマフラーでスッポリと首元を覆った矢沢君。
「俺はこっから徒歩10分」
「そっか」
じゃあ、ここでお別れか。
なんか寂しいな。
「今日は本当にありがとう!また何かお礼するね!」
「バスの最終って何時?」
「えっ?」
バ、バスの最終?
なんで?
「えっと……確か、7時台まであったと思うけど」
面会が夜の8時までだから、それに合わせて夜もバスは出ているはず。
「じゃあまだ大丈夫なんだな。ちょっとだけ時間あるか?」
「えっ?う、うん……」
「じゃあ行くぞ」
矢沢君はそう言って踵を返し、さっき通って来たばかりの自動ドアに向かって歩き出した。



