だって、キミが好きだから。



「ほら、花咲か爺さん読むんだろ?早くしろよ」



「え?わっ!」



いつの間にかぼんやりしてしまっていたあたしの前に、矢沢君のドアップが現れてビックリする。


キリッとした目に、血色の良い綺麗な薄い唇。


近くで見ると、さらにカッコ良い。



そのあと。



矢沢君にお助けマンとして入ってもらった花咲か爺さんのお話は、子どもやお母さんたちから大盛況で幕を閉じた。



最初は恥ずかしそうに真っ赤になってセリフを読んでいた矢沢君は、投げやりになりながらも最後まできちんと役をこなしてくれた。



「ありがとう、本当に助かっちゃった。矢沢君、イジワルじいさんの役似合ってたよ〜!」



病院の廊下を歩きながら、隣にいる矢沢君を見上げる。



「なんか嬉しくねーし。俺がイジワルだって遠回しに言ってる?」



「い、言ってないよ!役になりきってたってことだよ」



慌てて否定する。


すると、矢沢君は「ぷっ」と噴き出した。