泣いてみっともねー姿を見せてしまった。
何やってんだよ、俺。
んなとこ見せたら、余計に嫌われるだけなのに。
けど、別れることを考えたらどうしても止まらなかったんだ。
あれから菜花はそれを忘れたのか何も言って来ない。
それでいい。
……それでいいんだ。
何もなかったフリをしてでも、俺は菜花のそばにいたい。
それほどお前が好きなんだ。
情けねーけどさ、指輪を渡してあんな風に言うことでしかお前を繋ぎとめておく方法が思い付かなかった。
みっともねーよな。
わかってる。
でも、初めてなんだよ。
こんなに誰かを失いたくねーと思ったのも、こんなに誰かを好きになったのも。
菜花が初めてなんだ。