中学の頃から、大した努力をしなくても女はいくらでも寄って来た。
毎日のように誰かに告白されて、靴箱にはラブレターやプレゼントが入っている。
好きって気持ちがわからなかった俺は、タイプの違う色んな女と遊んだり、面倒になると冷たくして傷付けたり。
とにかく、今思うと最低なことばっかして来たわけだ。
最初はそれでも良かったし、遊んでるとそれなりに楽しかったけど。
時間が経って来ると、みんな口を揃えて『あたしだけを見て』『他の子と会わないで』って言うようになった。
泣かれたり、時には修羅場になったこともある。
面倒になると適当に切って、すぐにまた別の女のところに行く。
そんな最低なことを繰り返していた。
だけど、今まで好きだと思えた女はひとりもいない。
適当に遊んで適当に相手をしている方が楽だった。
そんな俺は、どっかのネジが緩んでるんじゃねーかって本気で心配になったけど。
それでも、どれだけ女に気持ちを押し付けられても、ウザいとしか思わなかった。
『好き』だの『付き合え』だのって、うるさく言われ始めたらゲームオーバー。
高校に入ってからは女と関わること自体が面倒になったから、女遊びも一旦落ち着いた。
愛想を振りまくのにも疲れて、向こうから話しかけて来ない限り自分から女と関わろうなんて気も起きない。
女子の間では、クールで無愛想な奴だって言われてるらしいけど、それくらいがちょうど良かった。
優しくすると、モテまくってウザいからな。
だけどーー。
北上だけは違った。
なぜか目を奪われて、自分から声をかけてみたくなった。
けど出来なくて、見てるだけの日々。



