次の日。


あたしは思い切って琉衣に電話をかけた。


番号とアドレスは大分前に交換してたけど、連絡を取るのは初めてだからドキドキする。


琉衣はあんまりメールしないって言ってたから電話しちゃったけど……出てくれるかな。


緊張するよ。



「もしもし、菜花?」



スマホの向こうから聞こえた優しい琉衣の声。


それだけで、胸の奥がグッと熱くなって涙が溢れそうになった。



「う、うん……!いきなりごめんね。今、忙しい?」



外にいるのか、辺りがガヤガヤうるさい。



不安に掻き立てられる胸を手で押さえて、スーッと大きく息を吸う。


緊張しすぎてダメだ。


ヤバいよ。



「今?全然忙しくねーよ」



「ほ、本当?外にいるんだよね?」



「おう。けど、大したことしてねーから」



「そ、そっか。ちょっと話があるんだけど。明日会える?」



「何だよ、話って。嫌な話なら聞かねーけど?」



琉衣は冗談っぽく言ってクスッと笑った。


どんな顔をして笑っているのかが想像出来て、胸が熱くなる。


こんなにも……こんなにも琉衣が好き。



「い、嫌かどうかはわかんないけど、大事な話だから」