あんまり笑わないって聞いてたのに、こうも違い過ぎるとギャップにドキドキしてしまう。
今の矢沢君はホントに笑ってばっかり。
背が高いから上から見下ろされている格好だけど、下から見上げる矢沢君もとてもカッコ良かった。
大きくて形のいい目に通った鼻筋、色気のある薄い唇。
パーツひとつひとつのどれもが完璧で、テレビで観るアイドルや俳優にだって劣っていない。
ううん、むしろここまでカッコ良い人はテレビの中にもなかなかいない。
こんなにカッコ良かったら、モテるのもムリはないよ。
今までこんなに近くで見たことがないから、余計にそう思うのかな。
ドキドキしすぎて、おかしくなりそうだよ。
「靴箱に紙切れ入れたの……俺なんだ」
「!?」
う、うそっ。
でも……やっぱりそうなんだ。
まさかとは思ったけど、予想が当たるなんて。
そう言われても、やっぱりまだ現実味がなくて。
だけど目の前に立つ矢沢君の姿を見つめることしか出来ない。
「俺さ……北上のことが」
ーードキンドキン
心臓の音がうるさくて、矢沢君にも聞こえるんじゃないかと不安になった。
息が出来なくなりそうになりながら、あたしは矢沢君の次の言葉を待つ。
「好きなんだけど」



