あたしは琉衣の方に体を向けて、両手でその手をギュッと握った。
ピクッと動いた気がするけど、強く強くギュッと握り締めた。
おでこにピタッと当てて目を閉じる。
……良かった。
良かったよぉ。
ちゃんと覚えていられた。
色んなこと、今までのことを忘れてなかった。
琉衣……。
あたし……怖いよ。
いつか忘れちゃうって考えたら、とてつもなく怖くてたまらない。
忘れたくないよ。
琉衣を想ってドキドキした自分がいたこと。
あたしに向けてくれた、まっすぐな気持ちを。
「お、おい、どうしたんだよ?まだ具合い悪いのか?」
「ううん、大丈夫だよ。琉衣の手……安心するから」
温かくて大きくて。
震えるあたしの心を優しく包み込んでくれてるみたい。
「ははっ……こんな手で良かったら、いつでも菜花にかしてやるよ」
「ほ、本当……?」
嬉しくてつい目を開ける。
すると、屈んであたしを見ていた琉衣と至近距離で目が合った。



