だって、キミが好きだから。



耳にジャラジャラ付けたピアスや、胸元に締められたゆるゆるのネクタイ。


シャツの胸元ははだけていて、男らしい鎖骨が見えている。


たまにグレーのパーカーを着ていることもあるけど、今日は紺のカーディガンを羽織ってきちんとブレザーを着ていた。


腰で履いただらしないズボンとか着こなしがオシャレに感じるのは、スタイルが良くてバランスが取れているからかな。


すごく似合っててカッコ良い。



長い前髪の隙間から覗くキリッとした目に、心臓がわし掴みされたみたいな感覚に陥った。



熱が注がれたように全身が熱くなって、ドキンドキンと心臓の音が大きくなる。



あのノートの切れ端の人が矢沢君だったら……。


なんて、ありえもしないことを想像してみる。



あははっ。


何考えてんの。


ありえないよ、絶対に。



あっという間に通り過ぎて教室に着いたけど、鼓動はいつまでも高鳴ったままだった。



ふと冷静になって思えば……。



たとえノートの切れ端が矢沢君からのものだとしても、あたしの期待通りの話じゃないかもしれない。


何か恨みがあって、とか?


ううん、それ以前に。



もし……万が一告白だったとしても、あたしにはそれを受け入れる資格なんてない。