ゆっくりと目を閉じる。

『レオン・フォートニードです。』

『でわ,姫。行きましょうか。』

『乗馬は初めてですか?』

『おはようございます…ッて,姫!!!!』

『あなたを失うのが怖い…』

『俺,お世話係失格ですね…』

『あなたならできる』

これだけ短い思い出でも,あたしにとっての大切な思い出。

それは,レオンが大切な人だから。

あたしならできる。

手を翳して,集中する。
熱が,手の先に集まっていく。

あたしならできる。

深く,深呼吸。

手を…突き出す!

悲鳴や,何かが壊れる音がしないかを確かめると,ゆっくり目を開けた。

「わぁ…」

そこには,綺麗な色をした,丸い大きな玉があった。

ラビーを見ると,嬉しそうに頷いている。