「お前の天然振りは,相変わらず変わらないな…」

その言葉をレオンは聞いていない。
ただ,ジッと閉められたドアを見つめている。

「お前ら…付き合ってんだろ?」

ゆっくり頷くレオン。
視線は久王に向けられた。

「そっかぁ…」

何となく分かっていたが,久王は大きな溜め息をつく。

「お前なら分かっているだろ?
神獣と人間の恋は難しい。
それは,辛いぞ?
昔の俺みたいにな…」

フッと笑う久王。

「あなたは…」

その様子を見たレオンは,真剣なまなざしで久王を見る。

「あなたは,俺に恋を教えてくれた。
あなたがいなかったら,こんな気持ちの名前を知らなかった。」

ギシッという音を立てながら,レオンはベッドに座った。

「あなたはあの時,とても幸せそうでした。
そりゃ,辛いかもしれません。
国が違うんですからね…。
でも,その分の幸せは大きいんじゃないですか?
昔のあなたを思い出せばわかります。」

久王は目を閉じて聞いていた。