落ちてきた天使

「もう知ってると思うけど、この人達が私のお父さんとお母さん。優しくて、温かくて、心が広くて………私をとっても大事に……愛してくれたの」



パパとママ、カズの隣りにお父さんとお母さんの写真を並べる。


こうやって並べてみると、私は凄く幸せだったんだって思える。

育ちだけを見たら“可哀想な子”。

幼い頃に血が繋がった家族を一瞬で亡くし、祖父は病気、祖母も間も無くして他界。

施設に預けられて、里子に出された。
その里親も火事で亡くし、今は書類上はひとりぼっち。

私は不幸な星の下に生まれたと卑屈になって思い込み、自分から周りを遠ざけた。


だけど、本当は違った。
私は不幸な星の下に生まれた可哀想な女の子なんかじゃない。

パパもママもカズも祖父母も、私を愛してくれてた。

お父さんもお母さんも、赤の他人の私に無限の愛を注いでくれた。


親だけじゃない。
いつも施設長がいた。
今は天下一のおやっさんと女将さんもいる。

そして、何よりも私には絶対的な溢れるぐらいの愛をくれる皐月がいる。


私はいつも愛に包まれてた。



「お義父さん、お義母さん、和也君、お久しぶりです」



さっきまで難しい顔をしていたはずなのに、今隣りに並ぶ皐月は凛とした表情で墓石に向かって頭を下げていた。



「え?久しぶり?」

「前に施設長に連れてきてもらった事があるんだよ」



知らなかった。

皐月まで両親に会いに来てくれてたなんて……


驚く私を、皐月は目を細めた柔らかい表情で見つめながらぽんぽんと頭を撫でた。

そして、再び背筋を伸ばして墓石に向き直ると、さっきよりも若干高く緊張味を帯びた声で再び話し始めた。



「今日は大切な話があって参りました」



大切な、話……?

今日は初耳なことばかり続く日だ。

ここへ来たのは、今日がパパ達の命日だからで、私が皐月に頼んで連れてきてもらった。

話があるだなんて、そんなこと皐月は一言も言ってなかったのに。