落ちてきた天使

地鎮祭が終わると、私達は更に移動して霊園に向かった。


車の中は始終無言。
お父さんと話した後から皐月は難しい顔をしたまま、心ここに在らずといった感じだ。

皐月の中で、お父さんから聞いた話をすぐに処理出来なくて戸惑ってるんだと思う。

今はそっとしておこう。
車の中は私が好きなJ-POPが流れ、私はそれを聞きながら窓の外の景色を見つめた。



30分程車に揺られると、霊園の駐車場に車を停めた。

途中で買っておいた花と線香を持ち、入口に用意された桶に水を汲む。

水がなみなみに入ったところで蛇口を捻って止めると、すかさず皐月がそれを横から軽々しく持ってくれた。



「ありがと」

「ん」



難しい顔をしていても、頭の中が混乱していても、皐月は皐月。

当たり前のように手を差し伸べてくれる皐月の優しさが嬉しかった。




「パパ、ママ、カズ、おばあちゃん。長い間、会いに来なくてごめんね」



霊園の石段を登り、【河合】と彫られたお墓の前で足を止めた。

ここは大好きな家族が眠る墓だ。

矢嶋の家に引き取られてから今日まで、ここに来るのが怖くてずっと来てなかった。

矢嶋のお父さんとお母さん、施設長は年に何度か来てくれていたみたいだけど。

私はお父さんが一緒に墓参りに行こうと誘ってきても、それをずっと断り続けていた。



「今日、おじいちゃんにも会ってきたよ。それからね」



私は鞄の中から写真立てを取り出して、矢嶋のお父さんとお母さんの写真を墓石に向けた。