「皐月、今日私がここに来たのはお前と話をしたかったからで、私から施設長に頼んだんだ」
施設長の後ろで考え込むように成り行きを見ていたお父さんが口を開いた。
声は皐月の声を少しハスキーにした感じだ。
国会で話す時とは違う少し砕けた話し方に、違和感を覚えた。
当然、お父さんの素はこっちなんだろうけど、私が知る黒田財務大臣からは天と地ほど離れた感じ。
……温かみを、感じる。
「じゃあ私は向こうに行ってるね」
こういう時は親子水入らずの方がいい。
赤の他人がいると、本音で話したい事も話せなくなってしまうから。
そう思って皐月に言うと、手首をガシッと掴まれてそれを制された。
「彩もいて」
「でも……」
皐月はそう言うけど、お父さんは部外者がいない方がいいんじゃ……
怖ず怖ずと、お父さんの方に視線を移す。
「っっ、」
だけど私の予想と反するお父さんの表情に、驚きのあまり言葉を失った。
「矢嶋彩さん、だね?」
「……は、はい」
お父さんが私の名前を知っていた事も本来驚くべき所だけど、今はそれどころじゃない。
それよりも、目を細めてふわり微笑んだ顔がドキッとするぐらい優しくて。
……何よりも、皐月に似ていて。
驚いた……言葉を忘れてしまうぐらいに。
一体何人の人が黒田財務大臣のこんな顔を見たことあるだろう。
怖くて冷たいイメージしかなくて、笑った顔を想像出来ない。眉間に皺を寄せた威厳ある表情のお面を被ってるみたいだ、というのが“世間の声”だと思う。
そんな人が頬を緩ませた。
話し方も声色だって違う。
全くの別人みたいだ。
そんなの驚かない方が無理だよ……
施設長の後ろで考え込むように成り行きを見ていたお父さんが口を開いた。
声は皐月の声を少しハスキーにした感じだ。
国会で話す時とは違う少し砕けた話し方に、違和感を覚えた。
当然、お父さんの素はこっちなんだろうけど、私が知る黒田財務大臣からは天と地ほど離れた感じ。
……温かみを、感じる。
「じゃあ私は向こうに行ってるね」
こういう時は親子水入らずの方がいい。
赤の他人がいると、本音で話したい事も話せなくなってしまうから。
そう思って皐月に言うと、手首をガシッと掴まれてそれを制された。
「彩もいて」
「でも……」
皐月はそう言うけど、お父さんは部外者がいない方がいいんじゃ……
怖ず怖ずと、お父さんの方に視線を移す。
「っっ、」
だけど私の予想と反するお父さんの表情に、驚きのあまり言葉を失った。
「矢嶋彩さん、だね?」
「……は、はい」
お父さんが私の名前を知っていた事も本来驚くべき所だけど、今はそれどころじゃない。
それよりも、目を細めてふわり微笑んだ顔がドキッとするぐらい優しくて。
……何よりも、皐月に似ていて。
驚いた……言葉を忘れてしまうぐらいに。
一体何人の人が黒田財務大臣のこんな顔を見たことあるだろう。
怖くて冷たいイメージしかなくて、笑った顔を想像出来ない。眉間に皺を寄せた威厳ある表情のお面を被ってるみたいだ、というのが“世間の声”だと思う。
そんな人が頬を緩ませた。
話し方も声色だって違う。
全くの別人みたいだ。
そんなの驚かない方が無理だよ……

