この人が誰なのか聞かなくても分かった。
この人は……
皐月を視線の先に捉えて離さないこの男性は……
「黒田さん、ご無沙汰しております」
誰でも一度はテレビで見たことがあるであろう人物。
現財務大臣、黒田秀一。
この人が多分……
「親父……」
皐月のお父さんだ。
「施設長、本日はおめでとうございます」
「ご丁寧にありがとうございます」
施設長とお父さんが挨拶し合う姿を呆然と見つめる。
こんな凄い人が皐月のお父さんだっただなんて、頭が追いつかない。
とにかく威厳がある。近寄りがたい雰囲気だ。
怖そうで、無口そう。皐月とはまるっきし正反対の冷たいイメージ。
纏う空気は全然違うのに、親子だって言われると確かに似てる。
今まで気付かなかったのが信じられないぐらいだ。
「施設長、なんでこの人がここに……?」
焦りと怒りが混じった皐月の声。
震えてる……必死で抑えてる、そんな感じだ。
施設長も皐月の様子に絶対に気付いてるはずなのに、一切表情を変えない。
それどころか、可愛い我が子を見るような柔らかな目で、今もお父さんを睨み続ける皐月の視界に入るように目の前に立った。
「私がお呼びしたの」
「っ、なんで……」
「お父さんと話してほしくて」
「俺は話すことなんかない」
皐月は施設長の言葉に食い気味に言い切った。
一瞬、辺りがしんっと静まり返る。
皐月の気持ち痛いほどわかる。
だけど、施設長が皐月を想う気持ちも凄くよくわかる。
「ずっと父親を憎んで生きていくつもり?」
施設長が切なげな声で重い沈黙を破った。
誰かを憎んで生きていく。
それはきっと、想像してるより遥かに辛いと思う。
「いつか皐月君も父親になる。その時、皐月君には心から幸せになってほしいの」
心から幸せに。
心の奥底に憎しみがある限り、本物の幸せは訪れない。
憎しみは幸せを生まないんだから。
この人は……
皐月を視線の先に捉えて離さないこの男性は……
「黒田さん、ご無沙汰しております」
誰でも一度はテレビで見たことがあるであろう人物。
現財務大臣、黒田秀一。
この人が多分……
「親父……」
皐月のお父さんだ。
「施設長、本日はおめでとうございます」
「ご丁寧にありがとうございます」
施設長とお父さんが挨拶し合う姿を呆然と見つめる。
こんな凄い人が皐月のお父さんだっただなんて、頭が追いつかない。
とにかく威厳がある。近寄りがたい雰囲気だ。
怖そうで、無口そう。皐月とはまるっきし正反対の冷たいイメージ。
纏う空気は全然違うのに、親子だって言われると確かに似てる。
今まで気付かなかったのが信じられないぐらいだ。
「施設長、なんでこの人がここに……?」
焦りと怒りが混じった皐月の声。
震えてる……必死で抑えてる、そんな感じだ。
施設長も皐月の様子に絶対に気付いてるはずなのに、一切表情を変えない。
それどころか、可愛い我が子を見るような柔らかな目で、今もお父さんを睨み続ける皐月の視界に入るように目の前に立った。
「私がお呼びしたの」
「っ、なんで……」
「お父さんと話してほしくて」
「俺は話すことなんかない」
皐月は施設長の言葉に食い気味に言い切った。
一瞬、辺りがしんっと静まり返る。
皐月の気持ち痛いほどわかる。
だけど、施設長が皐月を想う気持ちも凄くよくわかる。
「ずっと父親を憎んで生きていくつもり?」
施設長が切なげな声で重い沈黙を破った。
誰かを憎んで生きていく。
それはきっと、想像してるより遥かに辛いと思う。
「いつか皐月君も父親になる。その時、皐月君には心から幸せになってほしいの」
心から幸せに。
心の奥底に憎しみがある限り、本物の幸せは訪れない。
憎しみは幸せを生まないんだから。

