落ちてきた天使

「会いたい……会いたいよ、皐月ぃ……」



神様。

もうこれ以上、何もいらないから……


一目だけでいい。

皐月に会いたい………っ‼︎‼︎
















「じゃあ選んでくれよ」



え……





今の声……聞いたことがある。

低くて、耳触りが良くて、私の胸をいつも苦しくさせて。


ずっと聞きたかった。


大好きな人の声……



風が吹き、サーッと木の葉が音を奏でる。



心臓が爆発しそうなぐらいドキドキしてる。

幻聴かもしれない……
もしそうなら、立ち直れないかもしれない。


でも見たい。見ない選択肢はない。

恐る恐る木の下に目を向ける。


そして、視界に入った光景に、時が止まった。



「さ、つき……」



そこには一年5ヶ月前と何も変わらない。
息を切らして、二月なのに額に汗を浮かべて。

私を…私だけを真っ直ぐに見つめる皐月がいた。



「俺のタキシードを選んで、ドレスを着て隣りに並んで……一緒にバージンロード歩いてくれよ、彩」



夢、見てるのかな……
幻でもない?


目の前に皐月がいる。
夢でも幻でもなく、絶対に消えることのない皐月が手の届く所にいる。



「もう不安にさせたりしない。もう一人にしない。絶対に守るから」



皐月は両手を広げた。そして。



「来い」

「っっ、」



迷いなんてなかった。

恐怖も不安もなく、私は大好きな皐月の胸目掛けて飛んだ。




ドサドサッと鈍い音を立てながら地面に倒れ込む。

だけど、皐月はしっかり私を受け止めてくれて、私は皐月の上に覆いかぶさるようにその首にしっかりと腕を絡めた。



「皐月だ……皐月の匂いがする…」



離れていた時間を埋めるようにきつく抱き締める。

その温もりと匂い、心臓の音、腕の太さ、喉仏がくっきり浮き出た首。全身で皐月の存在を確かめる。


やっぱり無理だった。
次、皐月に会ってしまったら、もう離れられない。

そう思ってた。

多分、期待してたんだと思う。
この木に登った時…この街に戻って来た時から。

皐月に会えるんじゃないかって。
皐月なら見つけ出してくれるんじゃないかって。

期待してた。



「もう何処にも行くな」

「ゔんっ……行かない」



私、どうして離れていられたんだろう。

こんなに好きで、こんなに愛おしいのに。


言われなくても、離れろって言われたってもう離れられない。



「俺の隣りにずっといろよ」

「うん!いる……ずっとずっと皐月といる」