それは、一年5ヶ月前。
皐月が初めて無断外泊をした次の日、佳奈恵さんが私に会いに学校に来た時まで遡るーーーー。
『彩ちゃん……でも、私……それだけじゃないの……私のせいで皐月はーーーー』
一瞬、耳を疑った。
だって今、皐月は会社を辞めさせられるって聞こえた。
『どういうことですか……?』
信じられない展開に声が震える。
そして、すぐに脳裏に蘇った“専務”の影に、私はもう正気ではいられなかった。
『皐月の存在を知った時、私はどうしても皐月に近付きたくて父にコネがないか聞いたの。そしたら、皐月の会社の社長と知り合いで、紹介してもらって同じ会社の秘書課に配属された。でも、皐月は社内では皆の憧れ。私なんてまだまだ遠い存在だった。ずっと眺めてるだけの日々。そんな時、専務が声を掛けてきたの』
佳奈恵さんの口から出た“専務”の言葉に、心臓が縮み上がった。
やっぱり出てきた。
一番のネックは専務。気難しくて、多分誰よりも出世やお金に汚い人。
そのためなら平気で尻尾を振るし、部下が乗り気じゃないのに縁談を纏めようとする。
『専務が私を皐月のアシスタントに移動させてあげようかって言ってきたわ。チャンスだと思った。専務はすぐに皐月を自室に呼んで、こう言ったの。“水臭いじゃないか。なんで今まで言ってくれなかったんだ?三橋商事のご令嬢と婚約したって”。寝耳に水だった。皐月が役員室を出てから専務にどうしてあんな嘘を言ったのか聞いたの。そうしたら』
『ま、待ってください!寝耳に水?嘘?……佳奈恵さんもその話、知らなかったんですか?専務が勝手に言い出したことなんですか?』
『ええ、そうです。私は知らなかった。それに、まさか専務が皐月のお父様のことも知ってたなんて思いもしなかった』
佳奈恵さんが専務に皐月のお父さんのことを言ったんじゃなかったんだ。
じゃあどうして?
松永は皐月のお母さんの性。
誰かが言わない限り、皐月のお父さんまで辿り着くはずがない。
『どうして専務が知ってるのか、気になるわよね。専務は自慢気に私に教えてくれたの。皐月のお父様の奥様と学友で、昔付き合ってたんだって』
皐月が初めて無断外泊をした次の日、佳奈恵さんが私に会いに学校に来た時まで遡るーーーー。
『彩ちゃん……でも、私……それだけじゃないの……私のせいで皐月はーーーー』
一瞬、耳を疑った。
だって今、皐月は会社を辞めさせられるって聞こえた。
『どういうことですか……?』
信じられない展開に声が震える。
そして、すぐに脳裏に蘇った“専務”の影に、私はもう正気ではいられなかった。
『皐月の存在を知った時、私はどうしても皐月に近付きたくて父にコネがないか聞いたの。そしたら、皐月の会社の社長と知り合いで、紹介してもらって同じ会社の秘書課に配属された。でも、皐月は社内では皆の憧れ。私なんてまだまだ遠い存在だった。ずっと眺めてるだけの日々。そんな時、専務が声を掛けてきたの』
佳奈恵さんの口から出た“専務”の言葉に、心臓が縮み上がった。
やっぱり出てきた。
一番のネックは専務。気難しくて、多分誰よりも出世やお金に汚い人。
そのためなら平気で尻尾を振るし、部下が乗り気じゃないのに縁談を纏めようとする。
『専務が私を皐月のアシスタントに移動させてあげようかって言ってきたわ。チャンスだと思った。専務はすぐに皐月を自室に呼んで、こう言ったの。“水臭いじゃないか。なんで今まで言ってくれなかったんだ?三橋商事のご令嬢と婚約したって”。寝耳に水だった。皐月が役員室を出てから専務にどうしてあんな嘘を言ったのか聞いたの。そうしたら』
『ま、待ってください!寝耳に水?嘘?……佳奈恵さんもその話、知らなかったんですか?専務が勝手に言い出したことなんですか?』
『ええ、そうです。私は知らなかった。それに、まさか専務が皐月のお父様のことも知ってたなんて思いもしなかった』
佳奈恵さんが専務に皐月のお父さんのことを言ったんじゃなかったんだ。
じゃあどうして?
松永は皐月のお母さんの性。
誰かが言わない限り、皐月のお父さんまで辿り着くはずがない。
『どうして専務が知ってるのか、気になるわよね。専務は自慢気に私に教えてくれたの。皐月のお父様の奥様と学友で、昔付き合ってたんだって』

