シャワーを浴びると、脱衣所に出てふわふわのバスタオルに顔を埋める。


柔軟剤は爽やかな香り。
微かに香る程度で、全然嫌じゃない。
寧ろ、この香りは凄く好きだ。


下着を身につけ、洗面台の鏡を見る。


スッピンの私。目の下には隈が出来、昨日までなかったのにいつの間にかニキビが三個も出来てる。


若さなんて微塵も感じない。
疲れきって頬はやつれ、肌に張りなんて皆無。
到底17歳の女子高生には見えない。


こんな顔じゃ、運だって幸せだって逃げてしまうに決まってる。


はぁ、と重いため息を吐いて、借りた黒いTシャツを手に取った。その時。


ガチャッとドアが開く音がして振り返ると、松永皐月が何食わぬ顔で脱衣所に入ってくる所だった。



『きゃあぁぁっ‼︎‼︎』



咄嗟に持っていたTシャツで胸元を隠す。


ギリギリ股関節まで隠れたけど、素足はどうやっても隠せない。


松永皐月はうっせぇな、と言わんばかりに顔を歪めたけど、出て行くつもりは全くなさそうだ。



『な、何しに来たのよ!』



仮にもここはこの人の家。
何しに来た、は可笑しな台詞なのはわかってる。