皐月の頭の天辺が見える。
いつもは私よりも身長が大きい皐月の頭なんて見えないから、何か新鮮に感じる。

さっきまで恐怖で震えてたのに、皐月のつむじが可愛く思えて、思わず顔が綻んだ時。



「きゃあ!」



突然、突っ立ったままの私の手首を皐月がぐいっと引っ張った。

地べたに座る皐月の長く放り出された足と足の間に膝をつくと、今度は正面から抱き締められた。



「お前、可愛すぎ」



私の首元に顔を埋め、皐月は甘く囁く。

ドキッと跳ね上がる心臓。
皐月の吐息で首元が熱い。



「無事で…良かった。お前になんかあったら俺……生きてけねぇもん」



気付いてしまった。
ほんの少しだけど、声がくぐもったのを。



「さつき……」



泣いてるの?
私が心配掛けたから……?



「ご、ごめん……」



心配掛けてごめん。
不安にさせてごめん。

そうだよね、私だけじゃない。
皐月だって……誰だって、大切な人を失うのは怖い。



「私はいなくならないよ……ずっと皐月の隣りにいる」



皐月の大きな背中を強く抱き締めると、皐月もまた私を更に強く抱き締め返した。


お互いの存在を確かめ合うように……