落ちてきた天使

「迎えに行ってくる」

「何言って……」

「私ね、皐月にも施設長にも沢山の愛を貰った。それだけじゃないよ。ななちゃんにも、もちろん洋平やここにいる皆にも」



この街に戻ってきて、私は救われた。

生きてて良かった。
生きるって素晴らしいことだって。

もっともっと、生きたいって。

そう思えるようになった。



「もう、助けてもらうばっかりじゃ嫌なの。自分の足で幸せを掴み取ってくる」



今までの私は、努力が足りなかった。

被害者面して、私は不幸の星の下に生まれた人間だと早々に諦めて。

全力で幸せになろうとしてなかった。


何が不幸の星の下に生まれたよ。
私は私!ここにいる皆と何も変わらない。

何もしないで諦めてどうするの?

何もしないから後悔する。
何もしないで立ち尽くしてるからいけないんだ。


例え、本当に不幸の星の下に生まれたとしても。


幸せは自分で掴み取ればいい。



「私もね、諦めてばかりの人生はやめたの」

「馬鹿。それはそういう意味で言ったんじゃ…」

「わかってる。でもね、私は今やらないと後悔するから」



「行くね」と、洋平に背を向けて歩き出す。


燃え盛る炎、立ち上がる黒煙。
変わり果てた施設に一歩一歩確かに足を進める。

不思議と怖くなかった。
身体の震えも、動悸もない。

今の私は無敵だよ。
だって、皆から数え切れないほどの愛を貰ったから。



「待て」



パシッと音が出るぐらい強く私の手首を掴む洋平。

振り返って洋平の瞳を見つめると、洋平は何か言おうとして開いた口を噛み締めるように閉じた。


そして、その手をゆっくりと離した。