静まり返った公園。
さわさわさわと風が木の葉を揺らし、雲に覆われた月が再び顔を出した。



「話してくれてありがとう」



やっぱり誰かが皐月を好きなのは嫌で、ヤキモチを妬いてしまうし不安になる。

それでも、皐月が全てを話してくれたことが嬉しかった。



「あっ…でもなんでバザーの時あんなこと言ったの?」



私のことを知らないって言った。

しかもガキって……
あれは結構傷付いたんだけど。



「その件に関しては本当にごめん!」



ガバッと勢いよく頭を下げる皐月に、正直に、だけど冗談交じりに「あれはショックだったんだよ」と笑った。



「さっき、“あんな風に言うつもりはなかった”って言ってたよね?私を傷付けないように前もって説明しておくつもりだったのに自分が止められなかったって」

「……嫉妬したんだよ」



予想もしてなかった皐月の嫉妬発言。
一瞬耳を疑って、目をぱちくりさせた。



「えっと…それは誰と誰に?」



皐月が嫉妬をするようなことがあったかな……

思い返してみても、やっぱり身に覚えが全くない。


皐月は気まずそうに口を噤む。
だけど、すぐに観念したかのようにはぁと息を吐いて口を開いた。



「彩と洋平にだよ」

「洋平に?」

「お前、洋平に進路の相談してただろ?」

「う、うん……洋平が大学進学に決めたって言ってたから……」



確かにバザー中、洋平と進路の話をした。

でも、それは同じような境遇の人が同じ悩みに答えを出したから参考にしたくて聞いてただけで、やましいことなんて何一つもない。

それに、話してたのは皐月が来る前なのに、どうして知ってるんだろう……