とは、言ったものの……



「これからどうしよう…」



施設を出ると、私は公園のブランコに力なく座って盛大なため息を吐いた。


施設長に言ったことはもちろん嘘。
先輩どころか、友達すらいない。


今日行く場所なんて私にはないのだ。



「野宿決定、かな」



施設長に「うちに来なさい」って声を掛けてもらった時、素直に入ってればよかった。


来年の2月、私は18歳になる。
当然、高校卒業と同時に施設を出ていかなければならない。


数ヶ月でまた引っ越すのは大変だ。


それに、施設にいると施設長や職員、入所してる子供達にも必要以上に情が移ってしまう。


仲間意識、兄弟意識。


大切なものを作らないと決めた私にとってそういう感情はあってはならないものだし、それ以上にそういう感情を持つことが今は何よりも怖かった。


一人でやっていくつもりでアパートを借りて、いざ!新生活!って時に……



「はあぁぁぁ…」



もうどうにでもなれ。


ここまで不幸が続くと悲しみを通り越して全てがどうでも良くなる。


うな垂れた頭を上げて、いつの間にか茜色に染まった空を眺めていると、ザッと砂を踏む音と同時に視界に影が掛かった。



「お前、行くとこないんだろ?」



そう言って、私を見下ろすのはあの失礼な無神経男の松永皐月。