落ちてきた天使

「皐月…聞いて、くれる?」



言葉にするのも怖くて誰にも話さなかった私の過去。


さっき花火を見ながら皐月の温もりを感じていた時、今日皐月に全部話したいって思った。



皐月は私の背負った荷物を俺に寄越せって言ってくれた。

私の不幸を全て皐月に渡すことなんて、そんなことしたくない。

でも、背負ってる物を一緒に下ろしてもらうことは出来る。



皐月と出会うまで、これを下ろそうなんて一度たりとも思わなかった。

下ろしてしまったら、大好きな人達を忘れてしまう気がしたし、私だけ生き残ってしまった罪悪感が胸にこびりついていた。

だけど、そんな私の前に、絶対的な愛を注いでくれる皐月が現れて、こびりついたものを丁寧に優しく取り除いてくれた。

皐月と幸せになりたい。
皐月とずっと一緒にいたい。

そう思うようになった私は、長年背負ってきたこの不幸という名の荷物を下ろすことに決めた。


でもこれは、これまでのことを忘れるためじゃない。

前に進む、皐月と共に。そのためだ。



激しくなる動悸。
覚悟してもやっぱり怖いものは怖い……
口に出したらまた良くないことが起きそうな気がして、やっぱり……、なんて弱い私が顔を出す。


重い息を吐いたあと唇をキュッと噛んだ、その時、「彩」と柔らかい声が耳に届いてハッと顔を上げた。


温かい眼差しが私を見据えている。
私を安心させる、そんな瞳だ。



「ゆっくりでいい」



そう言って、握ったままの私の手を更に強く握り締めた。


不思議……
不安がスーッと身体から消えて行くようだ。


皐月はもしかしたら魔法使いなのかもしれない。そうじゃなければ、神様?