落ちてきた天使

「ーーーどうしてっ、ここに?」



バイトが終わり、天下一を出てすぐのことだった。



驚きのあまり、喉を詰まらせながらやっとのことで言葉を紡ぐ。


動悸が激しい……
苦しいけど、目の前の人物は私に落ち着く暇を与えてはくれない。



「もうバイトは終わりの時間ですか?ウェイトレスさん?」



口角をニッと上げて、くっきり浮き出た喉仏を上下させながら。


皐月は嫌味たっぷりに言った。




「俺に嘘つくとは良い度胸してるな?彩」



カツカツと革靴を鳴らして、ゆっくり近付いてくる皐月。


怒ってる……確実に。


声に棘がある。
笑顔もニコニコし過ぎて逆に恐ろしい。


“ウェイトレスさん”って、前に私がついた嘘を敢えて使って言ってくる辺り、皐月の怒りメーターの針は振り切ってしまってるみたいだ。



「何が中華レストランのウェイトレスだ?」

「う、嘘じゃないもんっ……ラーメンは中華でしょう?それに、ホール係だってれっきとしたウェイトレスだし」



そうよ、私は嘘は言ってない。潔白だ。


ただバイトをしてるだけで、咎められることは何もない。



そう心の中では強気の私。


だけど、皐月の威圧感たっぷりの目に押されて、強気だった心は一瞬にして縮んでしまった。