落ちてきた天使

「ごめんごめん。彩ちゃんって反応が可愛いからついつい虐めたくなるっていうかさ」



そんなんで可愛いって言われても全然嬉しくないし、ついついでからかわれるこっちの身にもなって下さい。


呆れてため息を吐くと、中垣さんが腕時計を見て「ヤバ」と焦った声を出した。



「いつでもいいから近いうちに遊びに来てくれたら嬉しい。親父もおふくろも楽しみにしてるから」

「え?おじさんとおばさんが?」



楽しみにしてるって……まさか、おじさんもおばさんも私のことを覚えていてくれたの?


中垣さんは目を細めて頷くと、「呼び止めてごめんね。じゃ、待ってるから」と慌てて走っていく。


中垣さんって賑やかな人だな、なんて広い背中をぽかんと見ながら考えていると、背中がピタッと止まった。



「そうだ」

「ど……どうしました?」



何か思い出したようにくるっと振り返った中垣さんの表情に嫌な予感しかしない。


また何を言われるのか、ビクビクしながら次の言葉を待った。


そして、その予感は見事に的中。



「皐月に好きって言ってやって。あいつ、諸手を挙げて喜ぶはずだから」



口の端を上げた中垣さんは、あろうことか声を抑える事もなくさらりと言ってのけたのだ。