落ちてきた天使

「でも、条件がある」

「条件?」

「今度、うちの店に遊びに来て」



え、うちの店?
って、あの三角屋根のパン屋さん?



「近々行きたいなとは思ってたので私はいいんですが……それが条件ですか?」



拍子抜けだった。


もっと変な条件つけられると思って身構えて
たのに、店に遊びに来いだけだなんて。



「何?エロいことでも命じられると思った?」

「そ、そんなこと思ってませんっ‼︎」



もう!中垣さんって真面目な話をしててもすぐふざけるんだから。


昨日初めて会ったばかりの私をからかって、


『俺の罠に嵌められて良かったでしょ?皐月が好きだって認める機会になって』


別れ際、ニヤニヤしながらそう耳元で言われるし。

挙げ句の果てには、私が声にならない叫びを上げた途端ゲラゲラ笑ってたし。



中垣さんの言う通り、昨日の一件は皐月への気持ちを受け入れる良い機会になった。


あの時、皐月がすぐに私を追いかけて来てたら、皐月も私も素直になれなかったと思う。
言い合いを続けるのがオチだった。


でも、中垣さんが咄嗟に皐月をトイレに閉じ込めたから、お互い冷静になる時間が出来た。


皐月の気持ちに変化があったかどうかわからないけど、私にとっては皐月が閉じ込められてる少しの時間が大きな一歩になったんだ。


中垣さんには少なからず感謝してるのに、最後の最後で変なことを言うんだもん……


ありがとうって言うタイミング、なくなっちゃったよ。