「そうだわ。9月の頭に施設でバザーをやるの。彩ちゃんも皐月君と二人で遊びに来て」

「それなら私に何かお手伝い出来ることありませんか?」



たくさんお世話になってる施設長に何か恩返しがしたい。


私が出来ることは限られてるけど、限られてる中で少しでも役に立てたらいいなって思う。



「……いいの?」



少し間を置いて躊躇いがちに言う施設長。


私を心配してくれてるんだと思う。
今までの私は人となるべく関わらないように距離を置いていたから。



「施設長、私はもう大丈夫です」



でも、今は違う。


変わりたいと思った。
もう壁を作らずに、沢山の人と関わって。


色んな世界が見たい。


幸せになるのも不幸になるのも、全部自分の気持ち次第。


逃げてばかりじゃ何も変わらない。


戦うんだ。自分の運命と。


そう思えたのは全部皐月のお陰。



「それじゃあお願いしようかしら」



そう言って、施設長は嬉しそうに微笑んだ。





「ちょっと長居し過ぎちゃった」



施設を出ると、私はその足でバイトに向かう。
施設に寄ってたから遅くなってしまった。


スマホを開いて時間を確認する。
少し余裕はあるけど、急いだ方が良さそうかな。


スマホをポケットに入れて足を速めると、ふとお店のショーウィンドウに貼ってあるポスターが目に入った。