落ちてきた天使

「あなた、さっきから何なんですか」

「あ?」

「人のこと馬鹿にして楽しいですか⁉︎不幸のどん底にいる私を見て心の中で笑ってるんでしょ⁉︎」



どんどん大きくなっていく声。
一度箍が外れると、もう止まらなかった。


周りで忙しなく動く救急隊、警察官が何事かと怪訝そうにじろじろと見てくるけど、そんなこと今は気にもならなかった。



この男への怒りだけじゃない。
続く不幸全てへの怒り、悲しみがどっと溢れてくる。


それは言葉だけではなく、大粒の涙となって。



「ああそうですよ!あなたの言う通り、私はついてませんよ‼︎今まで住んでた家を火事で無くしたばっかなのに、まだ一週間も経たないうちに今度は新しく住む家の床が抜けるだなんて‼︎」

「お、おいっ」

「私が何したって言うのよ!いつもいつもいつも‼︎私はただ…ただ普通に幸せになりたいだけなのに……」



悔しい。こんな奴の前でなんて泣きたくないし、弱音だって吐きたくない。


だけど、何度も続く不幸が私の心を蝕んでいく。


もう一人で立ち上がるのは無理そうだ。
それぐらい私の心はボロボロだった。