「彩ちゃん、ごめんね。彩ちゃんと二人っきりで話したくて邪魔者は排除させてもらいました」

「お前、彩に変なこと吹き込んでねぇだろうな」

「別に変なことは吹き込んでない。変なことは、ね」



二人がギャアギャア騒いでるのを呆けっと聞き流しながら、皐月が本当はすぐに追い掛けて来てくれてた事実に驚きを隠せない私。


さっきまでしんみりしてたのは一体なんだったんだろう……


勝手に不安になったりして馬鹿みたいじゃん。



あ〜あ、中垣さんにしてやられた。
ここは嵌められて怒るところなのかもしれないけど、そんな気になれない。


それよりも、胸の奥からじわじわと込み上げてくる昂った感情を抑えきれなくて。



「ーーーぷっ!あはは」



私は思いっきり吹き出して、お腹を抱えて笑った。


数分前までの滑稽な自分。


不安な気持ちから突如訪れた安心。


気付いてしまいたくなる皐月への想い。


色んな感情が入り混じって、なんかもう笑うしかなかった。



涙を浮かべながら笑う私を始めはポカンと見てた二人も、私につられて笑い出す。


こんなに笑ったのはいつ振りかな。


声を出して笑うって凄く晴れやかな気分になるし、穏やかな気持ちになれる。


気持ち良い。
私に付き纏う不幸が何処かに吹っ飛んで行ったように心が軽い。