これから私はどうしたらいいんだろう。
目の前の惨状をただ呆然と見つめながらその場に立ち尽くす。
私は何も望んでない。
幸せになりたいなんてこれっぽっちも。
なのに、なんでこんな目に遭わなければならないの……?
私には“普通”に、“人並み”に人生を送ることも許されないんだろうか。
私が今日入居予定だった築40年の古く寂れた木造二階建てアパートは、辺りに砂埃を巻き上げて瓦礫の山と化した。
私の荷物は瓦礫の下。
掘り起こすのは無理に近い。
例え、掘り起こせたとしても無惨な姿になってることは間違いない。
この間、火事で沢山の物を失ったばかりなのに。二週間経たないうちにとうとう全てを無くした。
家族との思い出の物も、先日まで通っていた高校の制服も何もかも。
私に残ったのは持ち歩いていた通学鞄に入っていた携帯と財布、それから二枚の写真が挟まった手帳だけだ。
「うわっ、すげぇな」
救急車やパトカーのサイレン、喧騒が遠くに聞こえる中、はっきりと耳に届いた声に私はピクッと眉を上げた。
「床が抜けるなんて、そんなことマジで起こるんだな」
それは紛れもなくあの失礼極まりない男の声。
被害者を目の前にして、無神経にもこの惨状を楽しんでるかのような口振りだ。
「しかも引っ越し当日にって、お前ついてなさ過ぎだろ」
はっ、と私を一瞥して鼻で笑う男。
さっきの公園での発言といい今といい…
もう限界。人を小馬鹿にするにも程がある。
私はヒュッと息を吸うと、怒りで震える声を抑えながら失礼な無神経男を睨みつけた。
目の前の惨状をただ呆然と見つめながらその場に立ち尽くす。
私は何も望んでない。
幸せになりたいなんてこれっぽっちも。
なのに、なんでこんな目に遭わなければならないの……?
私には“普通”に、“人並み”に人生を送ることも許されないんだろうか。
私が今日入居予定だった築40年の古く寂れた木造二階建てアパートは、辺りに砂埃を巻き上げて瓦礫の山と化した。
私の荷物は瓦礫の下。
掘り起こすのは無理に近い。
例え、掘り起こせたとしても無惨な姿になってることは間違いない。
この間、火事で沢山の物を失ったばかりなのに。二週間経たないうちにとうとう全てを無くした。
家族との思い出の物も、先日まで通っていた高校の制服も何もかも。
私に残ったのは持ち歩いていた通学鞄に入っていた携帯と財布、それから二枚の写真が挟まった手帳だけだ。
「うわっ、すげぇな」
救急車やパトカーのサイレン、喧騒が遠くに聞こえる中、はっきりと耳に届いた声に私はピクッと眉を上げた。
「床が抜けるなんて、そんなことマジで起こるんだな」
それは紛れもなくあの失礼極まりない男の声。
被害者を目の前にして、無神経にもこの惨状を楽しんでるかのような口振りだ。
「しかも引っ越し当日にって、お前ついてなさ過ぎだろ」
はっ、と私を一瞥して鼻で笑う男。
さっきの公園での発言といい今といい…
もう限界。人を小馬鹿にするにも程がある。
私はヒュッと息を吸うと、怒りで震える声を抑えながら失礼な無神経男を睨みつけた。

