今日は進級式。

私、咲原渼緒(さきはらみお)は
軽い足取りで学校の坂を登った。

そのとき…
「あぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

渼緒の悲鳴とともに
痛々しい音が響いた。

「いったぁ…
ほんと最悪…」

すると後ろから馴染みある声が。

「ははっ‼︎
やば、渼緒、まじさいこー‼︎」

私をばかにしてるのは悠宇汰。

西希悠宇汰(にしきゆうた)だった。

悠宇汰とは幼稚園からの幼馴染で
ずっと同じ道を歩んできた。

悠宇汰のくしゃっとしてる笑顔。

この笑顔に何度も救われた。

だから悠宇汰は…
特別な存在でなくてはならない人だ。

悠宇汰が手を差し伸べてくれて
そのまま立ち上がった。

その瞬間、私の身体が動かなくなった。

視線の先にいる人は…